滝川　「緑町の片流れ」-建築家とともに造る家-

滝川市に計画した夫婦と小さなお子様のための住宅。
敷地は、北側の背景に豊かな緑があり、その向こうに根室本線が走っているという、少し特殊な、だけども豊かな環境にある。

住宅の間取りとしては、南の陽当りの良いところにLDKが来て、北側にはトイレや浴室といった水回りを固めるというのが一般的である。これは陽当りという側面から考えれば１つの正解ではあると思うが、それはあくまで周辺の環境を考慮しない場合という条件が付く。
この住宅では、そういった従来のセオリーにとらわれず、北側の豊かな環境を住宅の内部に連続させつつ、内部とのインタラクティブ（双方向的）な関係を築きたいと考えた。

そのために、住宅の中心となる空間を南北に連続させ、そこに大きな片流れの屋根を架けた。南側には1・2階へと連続する開口部から日照が得られ、その光は片流れの天井面を沿うように北側のダイニングキッチンにも届けられる。

北側の大きな開口部は、直射日光が入らない分、間接光によって優しい光に満たされ、北側の豊かな環境と接続される。
大きな天井面には北側に向かってハイサイドライトが設けられ、2階からも北側の環境、そして空へと接続する。
1・2階は、1つの大きな屋根によって、分断されることのない大きなワンルームとなり、どこにいても家族の気配がわかるようになっている。

この住宅では、無造作に捨てられがちな北側の環境に目を向け、この土地だからこそ実現できる豊かな空間を生み出すことを意図している。

担当設計士　弘田 亨一